久方ぶりのブログ。

先日終わった公演のお話を少々。

流れで書いていくので諸々温かい目で読んでくれると幸いです。

公演のお話と依頼

「来年、自分主催で公演をやろうと思ってるので、、、」

主宰の多悶さんからお話を聞いた時は内心

「また修羅の道を、、、」

と思ったがご依頼はありがたいので二つ返事でOKした。

何だかんだで付き合いも長くなり、その人と成り、生真面目さと誠実さは自分なりに知っているので、初開催でも特に心配なし。

どうしてもやりたい本があるとのことだったので、どんな物語なのかも楽しみにしていた。

本を読んだ第一印象は。。。

そんなわけで台本が届き、サッと流し読みしつつト書きと効果音チェック。

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これ、面白いのか?

分かりやすい笑いどころはなくツラツラと大正時代の新聞社と報道に携わる人間の葛藤と苦悩が会話で展開される。

本として読み物として個人的には楽しめる。

ただ、娯楽として観に来る人にはどうなんだろうか。

深く思慮して「お芝居」と「物語」を堪能できるタイプの人には刺さるものもあろう。

だが、そうではない人には?

これは自身がここのところファンタジーや比較的ライトな?作品に多く関わってきたことも影響しているわけだが。

何にせよこれが初めて台本を読んだ印象だった。

荒通し見学はマジの荒通しだった件。

スケジュールもあって、早めに通しを見せてもらうことになり某稽古場へ。

相変わらず遠いところだゼ。

もう慣れたけどね。

というわけで荒通し。

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なげぇ。

2時間40~50分くらいだったか。

プロンプガンガンとか転換お試しとかあるにせよ、さすがにこのタイムは。。。

一抹どころかゴリゴリの不安を覚えて帰路についた記憶。

音出し通し稽古へ。

選曲に多少苦労しつつもプランを終えて最終稽古へゴー。

稽古で初めて音を入れる時はいつもそこはかとなく緊張するのよ。

映像や記憶とは諸々違ってくるからね。

さてさてどうなることやら。

タイム短縮に驚き桃の木。

ひとまず音は形が見える程度にはわかったので一安心しつつ、ランタイムを見ると、、、

2時間10分。

こんな縮むもんなの?

とはいえ2時間オーバーだから長いことは長いのだけれど、前回のタイムがあるから感覚狂うよね。

個人的にはやっぱり1時間30分が観る人には優しいかなぁと思う人。

時代の流れ的にはおそらくもっと短くしていく方が動画慣れしている人々にはハマるのだろうが、こと演劇となるとなかなか。

あんまその流れに迎合すると

なら映像でいいじゃん。

となりかねないもんなぁ。

演劇の力がー・演劇の魅力とはー とか何とか言うつもりはないけど、確実に映像や動画では表せない生の演劇だからこそ!は存在するのよ。

そこをしっかりガッツリやるとなるとまあ2時間も有りっちゃあ有り、、、

でも2時間はケツ痛いよなぁ。

なんてことを考えちゃう演劇好きじゃないマン

よくないね。

公開ゲネはゲネじゃないのよ。

そんなこんなで小屋入りして無事に場当たりも終わりさあゲネプロだ。

しかーし。

今回はゲネが公開でしっかりお金も取るということなのでもはや本番なのだ。

これは人によって様々考え方があるから一概には言えないけども、個人的にはやはりゲネはゲネであって、本番ではできない、もしくは本番でやりたいことへの最終チェックの側面が強い。

でもお金払って時間使ったお客様がいらっしゃるとなると、そんなことはやってられない。

「ちゃんと出来たモノ」を表現して提供しなければならぬのだ。

そんなわけで場当たりから演者さんにも協力してもらってちょっとだけ突っ込んだきっかけ合わせ等々。

場当たりはカンパニーによってそれぞれやり方が違うので、演者が抜いて(本気じゃない)芝居をすることもある。

もちろん本気が必要ではないきっかけもあるが、こと音響に限っては「それなりに本気の声量とテンポと動きでやってもらわないと困ることが多い」。

セリフバックに流すBGMの音量は本意気の声量に合わせないとだし、曲の尺が決まっていて、その尺流しきり演出だった場合、曲が入ってからすべての芝居を本意気でやってもらわないとタイムが取れない。

わたし個人は「場当たりからいつも通り芝居しろ」という教えで来ているので、声のセーブとか体力温存とか舐めたこと言ってんなと思っちゃうワルい癖があったりなかったり。

コンプライアーンス。

効率性、合理性も大事にしつつ、それのみに特化していくことは避けたいのが持論。

他者に押し付けることはしないけどね。

閑話休題。

そんなこんなでゲネらしいことは場当たりで終わらせて無事に公開ゲネはできましたとさ。

本番中の裏話。

大抵何かしら本番期間中はハプニングやら裏話があるものだが、今回はそんなになかったような。

思い付くまま箇条書き。

・転換終わりでMフェードアウトルールなのだが、明らかにあるはずの鞄がないまま転換終わりの空気で音下げるか悩む。

・号外の紙が束になって高村さんに直撃?ちょっと紅子さん笑ってないか?

・授業してる先生が急にピタッと無言になったけどこれはもう音楽アオッてブル転いくか悩む。

・ケータリングのインドカレーの匂いがロビーに残るか心配しながらパクパク。

・客席で盛大にスマホが鳴り響いて、その時の芝居内容何にも入ってこない。マジで勘弁してくれ。

・あやいちのセリフ間違いとか噛みに対して相変わらずむちゃくちゃイラつく。ストレス。よくない。

ザッと思い付くのはこんな感じかな。

大きな事故?はないことになるか。

音響的にはスマホ鳴るのは事故なんだけどね。

俺じゃないよ?音響じゃないよ?みたいな。

一番は他のお客さんへの影響がね。

ホントに気を付けてもらいたいなぁ。

結局芝居はどうだったのよ?

これはねぇ、、、

 

 

面白かった。

歌も殺陣もダンスもない久しぶりのがっちり会話ストロングスタイル。

演出と演者さんの力でほんの少し笑いをプラスしただけのゴリゴリストロング。

セリフもまた今を生きる我らにクルものがいっぱい。

・妥協した。俺は妥協した。

・噛め。そして飲み下せ。今の自分の現状をまず腹に納めろ。

・理想も大義もない。ただ一つの望みを叶えるためだけの力が欲しくなる時がある。

ねえ?芝居してる人間なら皆こんなこと突き付けられることあるよねえ。

妥協しねえで

今の自分を認めて

本当に欲しいものを手に入れる。

至極真っ当な話じゃねえか。

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それが簡単な話じゃねえんだよな

何にせよ本だけ読んだ第一印象とは大きく違うモノになったということで、これも演劇の面白さの一つ。

多悶さんが衝撃を受けたという話も大袈裟ではなかったようだ。

表面的で簡易的な時短の面白さはなくとも、じっくりたっぷりお芝居の面白さ。

うん。面白かったわ。

上野ストアハウスさんはよき。

宣伝でも忖度でもなくとても良い劇場かと。

小劇場という響きを当てはめるならばちょうどよい劇空間。

小劇場って客席キャパだけでは推し量れない独特な空気感があるのよね。

キャパはそんなでも雰囲気ホールみたいなところもあるし。

今回は劇場管理の音響さんともお話できて個人的にも満足。

いつも柔らかくご対応してくれる木村さん始めスタッフの皆様ありがとうございました。

まとめ。

トータルすると要は楽しい公演でした。

主宰の多悶さんはキャパオーバーしてそうだけど。

自分も主宰公演の時は「演者で出ちゃダメなんだ」と思いつつ出ちゃうからほんのり大変さは解るつもり。

テメエのやりたいモンやるのにその世界に自分がいないとか有り得ねえじゃん?

なんてね。俺はそう思うタイプ。

多悶さんはその辺どんな感じなのか今度聞いてみたい。

そんなわけで久しぶりの回顧ブログは終わり。

今はライトでポップな一時間モノに向けて準備中。

これはこれで好きだから面白いよね。

 

改めまして主宰の多悶さん、ご依頼頂きありがとうございました。

やりたかった世界の一助となっていれば幸いです。

そして演出、スタッフ、演者の皆さんもありがとうございました。

楽しかった。

またどこかで。

お疲れ様でした。