ブログ・日記

個人的な演技論

演技って何だろう。

そんな哲学みたいなことをたまーに考える。

役者やってる人はよく考えるんだろうか。

演技というもんに触れ始めた頃は何となく

「何かやらなきゃいけない」

もんだと勝手に捉えていた気がする。

役の違いや役割は違えど根本的には台本と役は与えられる。

その与えられたモノをどう自分がやるか。

これがその内、

「他者ではなく自分だったらどうやるか」

こういう思考が出てくるのだ。

何なら他者との違いを出すことこそが自身の個性やアイデンティティーに繋がるのだ!

みたいな勘違いね。

もちろんオーディション勝ち抜くとかゴリゴリの競争現場でそれが求められている場なら全然健全な思考なんだけども。

もう出ることが決まっていて役割も与えられている、それでいて競争しなければいけないわけではない現場ならば、その思考は割りと作品にとって不純物なんだよな。

そりゃどんな作品でも爪痕残したいとか自身の成長を考えたいとかの向上心は全然あって良いんだけど、それは個人の都合でやってほしいところ。

あくまで作品は作品としての完成を考えてその場の自分を創っていってほしいなぁと思うのだ。

自分だったらこうやるー!

とか

こうすることが俺という役者なんだー!

とか

この台詞をこんな風に解釈してこう見せるんだぜー!

とか基本全部いらねーのよ。

正確にはそう思いながらやるってのが要らない。

やるのは全然いいし、成立してるなら勿論大アリ大歓迎。

ダガシカシ。

まずやることはそこに在る台本と台詞をそのまままっすぐやることなんじゃねーかな。

野球のピッチャーが最初はストレートから覚えて投げるように。

始めたてでいきなり変化球投げるやつなんて殆ど使えねーだろうし。

それが個性で大成しちゃうタイプなんです自分!だって天才だもの!な人はそれでもいいかな。

でもそう考えてるわけでもなさそうなのに、最初から変化球を一生懸命投げようとする人がまあまあいるよねって話。

もしくはどうやったら変化をつけられるか?が主流の思考になってる人。

まずは台本にあるモノだけをまっすぐそのままやってみないかい?

自分なりにとか個性をとか抜きにただそのままやってみる。

まずはそこからなんじゃないのかなーと。

それをすっ飛ばして台本に書かれていない言葉をイキイキと発したり、ト書きにない動きをいきなりやったりする人は、大抵台本に書かれていることは疎かにする。

それでもそんなことないよ!って言い切れる人はもう作家を舐めてるよね。

役をもらったらもうその言葉は自分だけの所有物みたいな扱いする奴マジキライ。

自分の言葉なんだから、言いづらかったら言い換えても意味は通ってるからいいよね?

自分の気持ち的にこの言葉は出てこないんだよねー?

何なら台本と違う言葉ずっとしゃべってるけどそのこと自体気付かなかったー?

演出から何も言われないからオッケーなんだー?

舐めてるだろ。

自分はそんなことないと自信を持って、もしくはそんな奴いるの?とホントに思える人はいいさ。

でもそんな感じの人でも実際の芝居では作家や作品の言葉を蔑ろにしてることも往々にしてあるよ。

間違っちゃうのはいいのよ。

噛むのもまあダメだけどいいのよ。

問題なのは

書かれている言葉に真っ直ぐ全力で向き合って飲み込んで理解しようとして誠実であろうとしているか否かなのよ。

その上で噛んだとか言い間違ったとか演出上どうしても変えなきゃいけないとかは全然いいのよ。

その努力、、、てかそれが最低限の役者の仕事だと思ってるけど、それをしないで全力で芝居をやってます!とか言う奴マジキライ。

この台詞いつも出てこないんだよねー。

この台詞言いづらいんだよねー。

ネタとして身内で言ってる分には全然オッケー。

ネタでも何でもなくホントにお客さんにまでそのまま持ち込んじゃうならそりゃもう怠慢なのよ。

言いづらい台詞なら100回間違えないように意識しながらゆっくり音読すりゃ誰だって言えるようになる。

ダメなら200回。

ダメなら300回。

言えるようになるまでやりゃ口からスルスル出るようになるゼ。

そこまでやって出ないんならそれはもう役者に向いてないってことではないかね。

台詞をしっかり言えることだけが役者としての魅力じゃない!って例もそりゃあるけどもよ。

各々それぞれの勝手じゃん?ってのも重々承知してる。

俺個人の考え方じゃん?

そりゃそうさ。

でもさ。

もったいないじゃん?

頑張ってないわけじゃない。

一生懸命じゃないわけじゃない。

手を抜いてるわけでもない。

でも舐めてるってことに気付いてもいない。

いい表情もする。

いい声も出す。

いいテンションまで上がる。

グッとくることもある。

でも。

言葉が滑る。

作家の想いや狙いをすっ飛ばしてる。

役者のスキルを足すことだと勘違いしてる。

結果伝わるものは本来届くはずのモノの何割になっちゃうんだろう。

届かないところじゃなく届くはずのところまで行けないまま終わっちゃうのは寂しいと思うのよな。

仕事とは関係ない俺個人の思考でした。

ではではまた。